2025年5月28日、株式会社フォーエムのオフィスにて「Publisher AI Summit Vol.1」を開催しました。
本イベントは、Webメディア運営者や出版社などパブリッシャー関連企業を対象に、生成AIの進化がもたらす変革とその具体的な活用方法を深掘りするものです。
本レポートでは、業界のキーパーソンによるセッションを通じて、メディアビジネスの未来と変革のヒントを徹底解説します。
オープニングセッション:AIはすぐ隣に。働き方を変えるAI活用の可能性
登壇者:株式会社フォーエム 代表取締役 綿本 和真
冒頭に登壇した綿本は、生成AIがメディアの「存在意義」「価値創造」「社会的役割」といった根幹を揺るがすパラダイムシフトを起こしていると指摘。Googleの検索体験へのAI導入(SGE)を例に、「読まれない記事」「拡張される民主化」といった影響の現実性を語り、日本国内でもAI活用の加速は避けられないと強調しました。

AIはメディアの何を変えるのか?
- 収益モデルの危機:AIエージェントによる記事流入の減少よる広告収益の低下
- コンテンツ価値の希薄化:生成AIによる高速リミックス
- 主導権の喪失:テック企業による情報流通の制圧
これら3つの危機に対して綿本は、「AIは仕事を奪うのではなくアップグレードする存在」と語り、欧州パブリッシャーの実例を紹介。AIがクリエイティブ制作や調査時間を効率化し、記者が本質的な業務に集中できる環境を実現している事例を挙げました。
AI活用の実践とナレッジ還元:フォーエムのロールアップメディア戦略
このような状況下で、AI活用の最前線に立っています。昨年より始動したロールアップメディア(メディア買収・運営)プロジェクトでは、買収したメディアの運営にAIを積極的に導入。記事制作の各工程において、AIによるトレンド分析、コンテンツ解析、商品選定、執筆支援などを徹底することで、記事制作時間を4時間から40分へ、商品選定を40分から4分へ、執筆作業を2.5時間から15分へと劇的に短縮し、少人数での収益最大化を目指す実証実験を行っています。
「パブリッシャーを支援する立場として、まずは私たち自身がAI活用のノウハウを実践の中で徹底的に蓄積し、その具体的な成功事例や課題解決の知見を、支援させていただく全てのメディア様に還元していくことが重要だと考えています。ロールアップメディアでの挑戦は、そのための重要な布石です」と、自社での取り組みが業界全体のAI活用を牽引する意志の表れであることを示しました。
AIリテラシーの醸成と「変わり続けられる組織」へ
現場でAIを活用しきれていない背景には、「どこから始めればよいのか」という戸惑いや、具体的な活用のイメージが掴めないという現実的な壁があると綿本は指摘。フォーエムも属するAnyMind Groupでは「AI Native Company」を掲げ、AI専用チャットチャンネルや社内勉強会の設置など、組織文化から変革する取り組みを推進しています。
最後に、「AIというテクノロジーを組織に取り込み、変わり続けられる組織こそがこれからの時代における競争力の源泉です。広告収益に偏った構造から多様なマネタイズ戦略へ、属人的な業務遂行からAIを活用した再現性のある成長へ。この転換を共に実現していきましょう」と力強く訴え、オープニングセッションを締めくくりました。
Session 1:異業種から学ぶ!メディア業界のAI導入ヒント
登壇者:AnyMind Japan株式会社 執行役員 DX&AI事業部 作増 志郎
作増は、他業界におけるAI導入の事例を紹介しつつ、パブリッシャー業務にも応用可能な視点を提供しました。

AI導入で経営層が抱える主な課題
多くの企業がAI導入に際して直面する共通の課題として、「どの技術を選び、どの業務から優先的に着手すべきかという判断の難しさ」「投資対効果(ROI)の不明確さ」「AIを推進するための組織体制や人材確保の困難さ」「段階的な導入ロードマップの不在」などを挙げました。
これに対し、AnyMind Groupが推進する「AI Native Transformation」の核心的なアプローチを紹介。それは、「AIを評価し、配属する」という独自の意識のもと、単なる技術導入に終わらせず、導入前に業務を洗い出してインパクトを算出、その後AIで自動化していく進め方をすることで、経営課題の解決とビジネス成果に直結するAI活用を目指すものです。
多くの企業がAI導入に際して直面する共通の課題として、「どの技術を選び、どの業務から優先的に着手すべきかという判断の難しさ」「投資対効果(ROI)の不明確さ」「AIを推進するための組織体制や人材確保の困難さ」「段階的な導入ロードマップの不在」などを挙げました。 これに対し、AnyMind Groupが推進する「AI Native Transformation」の核心的なアプローチを紹介。それは、「AIを評価し、配属する」という独自の意識のもと、単なる技術導入に終わらせず、導入前に業務を洗い出してインパクトを算出、その後AIで自動化していく進め方をすることで、経営課題の解決とビジネス成果に直結するAI活用を目指すものです。 これらを踏まえ、AnyMindが実施している支援は「AIを評価・配属する」経営視点に基づくもので、3つの導入型を提示しました。
- 基盤先導型(経営/事業部主導):データ基盤の整備 → スモールスタートで実証
- 現場課題先導型:業務課題からPoC → 効果検証
- サービス連携型:既存業務フローへの組み込みによる省力化
その具体的な進め方として、まず組織全体の業務プロセスを徹底的に棚卸しすることから始めると説明。各業務について、現状の工数、潜在的な課題、そしてAI導入によって期待される効率化の可能性と経営インパクト(コスト削減効果や生産性向上など)を定量的に評価・算出します。この評価に基づき、経営インパクトと実現可能性を軸にAI活用の優先順位を明確化し、最も効果の高い領域から段階的にAI実装を進めるロードマップを策定します。
導入事例とソリューション紹介
- AnyAI:データ&AI統合プラットフォーム(ダッシュボードで分析・予測)であり、経営管理ダッシュボードやSNSマーケティングダッシュボードを通じて、売上・利益・コストの多角的な分析、成長機会の探索、ROIの高い広告チャネルの特定、さらには未来予測や施策シミュレーションなどが、AIとの対話形式で直感的に行えることを、デモ画面を用いてご紹介いたしました。
- クリエイティブ制作:従来、1画像あたり平均10分を要していた文字入れやデザイン調整といった作業が、AIを活用することでわずか数秒から数十秒へと劇的に短縮。
- AnyTag Insight:SNS・口コミ・EC等の統合分析によりブランドの強み・弱み、消費者のインサイト、競合とのポジショニングを明確にし、より効果的なマーケティング戦略や商品開発に繋げている。
- トレンド分析と商品開発AI:リアルタイムの市場トレンドや消費者ニーズをAIが分析し、その結果を基に新たな商品コンセプトの提案や既存商品の改良点を具体的に提示。これにより、データに基づいた確度の高い商品開発プロセスを支援し、ヒット商品を生み出す確率を高めている。
Session 2:フォーエム社内AI活用と『AI Bot』実践デモ
登壇者:株式会社フォーエム Publisher Growth事業部 DX&AIチーム マネージャー 三宅
本パートでは、社内外での具体的な事例を複数紹介しました。

活用事例と成果
フォーエムはAI Botを駆使し、社内外の多様な課題解決を推進しています。営業領域では、PMP販売における広告代理店向けのメディアプランニングを自動化し、抜け漏れない最適なプランニング策定や、広告配信におけるトラブルシューティングをエンジニアに相談する前段階として過去の事象と解決策を網羅したBotを作成し、解決までのリードタイムの短縮を実現しております。またパブリッシャー向けのコンテンツ制作領域では、記事や漫画の自動生成によりコンテンツの新たな供給ライン創出に貢献しています。
AI導入への第一歩として「スモールスタート」「既存費用内での展開」「ダッシュボード活用による可視化」の3点を提案し、どの企業でも始められるDXの道筋を提示しました。
ネットワーキング・個別相談会
セッション終了後は、参加者同士や登壇者との活発な意見交換が行われました。AI活用の具体的な悩みや疑問について、個別相談を通じてその場で解決策が提示され、参加者の関心と期待が高まる様子が印象的でした。
まとめ
「Publisher AI Summit Vol.1」では、メディア業界に迫るAIのインパクトを具体的な実践事例を交えて紹介し、パブリッシャーの未来に向けたヒントが多数共有されました。
AIはもはや「未来の技術」ではなく、「すぐ隣にあるツール」
情報収集・記事制作・広告運用など、業務全体のアップグレードに向け、今こそ一歩を踏み出す時です。
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